文化財を未来に継承するための取り組み 日本の文化財(国宝、重要文化財など)の多くは神社・寺院が所有し、それらは歴史と文化を未来へ繋ぐ大切な財産です。しかし、その保守・修繕には莫大な費用がかかり、年々その負担が増しています。また、これらの文化財は著作権が消滅しているため、第三者が自由に商品化しても、オリジナル所有者に利益が還元されることはほとんどありません。そんな中、当協会は「文化財の次世代継承の費用確保のための文化財活用手段」を模索するプロジェクトに取り組んでいます。 文化財継承の新たなアプローチ 文化財の保護・継承を永続的に可能にするため、文化財のデジタル化を進め、デジタルデータ所有権売買、NFT(非代替性トークン)による新たなマーケットの創出を目指します。また、所有者自身が積極的に文化財活用(各種製品の制作・販売など)を行える環境整備への取り組みを行っています。 文化財活用で超えるべきハードル 1.関係者の相互理解と了解 文化財には所有者、管理者、地域社会など様々な人々が関係しています。文化財は、その所在地や所蔵機関、地域社会にとって、歴史的・文化的な価値を持つものであり、その価値を尊重することが求められます。そのため、文化財活用への取り組みにおいては、それらの人々の了解が非常に重要です。 2.デジタルデータの扱いや活用方法の明確化 文化財のデジタルデータ化やその活用に際しては、品質・正確性・保存方法など、多くの技術的・倫理的な問題を考慮しなければなりません。また、デジタルデータの利用や配布、商業利用に関するガイドラインや方針を明確にすることも重要です。 3.二次制作物からの収益還元:ルール制定 文化財のデジタルデータを基にした商品やサービスから得られる収益を、どのように文化財の保護・維持に還元するかの仕組みを明確にする必要があります。このような仕組みを整備することで、文化財のデジタルデータ活用の持続的な発展と、文化財の保護・継承の双方を実現することが可能となります。 4.デジタルデータの扱いに関する法制化の遅れ 現在、デジタルデータ流通に関する法制化がほとんどなされていないため、安全で安定したデジタルデータ流通拡大の大きな障害となっています。今後、順次整備されていくことは間違いありませんが、「その決定までにどのように対応していくか?」を検討しなければなりません。